海軍兵学校を卒業し、海軍兵の称号を与えられ、初の大型軍事演習。

選ばれた者しかこの戦艦には乗ることができないと言われていたため、誰もが光を宿し、希望と期待を胸に膨らませていたはずが。


目を閉じる若い兵士たちが密集した倉庫に、なぜ自分は居るのだろう。



(いったいなにが……起きているんだ…?)



視界が遮られる薄暗さのなか、ピピッと、小さな発信音。

近くに動いている人間がいるのかと、助けを呼ぼうとした俺の目に映ったもの。


ガスマスクを装着し、なにやら専用の小型機械を扱っては1人1人へと注射器を当てている数人。



「先生、この者は合致値数が20ほどしかありませんが…」


「…試さなければならぬのだ。どちらにせよ失敗だった場合は人体解剖に回す」



全身に電流が迸った。

それは斜め前、細々と会話し、慣れた手つきで注射器を持つ男の……声を聞いた瞬間だった。