「とりあえず水…?牛乳のほうがいいのかしら…?ちょっと厨房からもらってくるわ!」


「ありがとうございます」



母猫を呼んでいるのか、ミャアミャアとか細く鳴きつづけている子猫がいた。

拾ってきてしまった彼に、さすがに「帰してきなさい」は誰も言えない。



「お、飲んだ飲んだ。小魚とか煮干しとか、もしかすると食べるんじゃない?」


「人間用を与えて大丈夫ですかね…?それかコンビニにキャットフード売ってるだろうから、僕が買って来ますよ」


「あら、いいの?おねがい」



気づけばロビーにいたスタッフみんなが名前もない子猫を囲う。

小皿に注がれた牛乳を上手に飲んで、ペロペロと肉球を舐めて。


かわいい~と、今日の疲れも揃って吹き飛んでしまったようだ。


私はまたまた物陰からチラっと様子を伺うだけ。