「それで?どうせダメだったんでしょ?」
「“俺に構う暇があるなら他の従業員の手伝いをしてやってほしい”って、バッサリ。暇って…、あたしにとっては超重大だったのに!」
「あははっ、さすがハルさん。すっごい想像できるわ~」
「ちょっ、なによー。応援してくれてたんじゃないの?」
どうしようどうしようと、困った。
物陰に隠れて、結果的に盗み聞き。
仲居として働く彼女たちは、私と歳もさほど変わらない。
「女に興味ないのかな?って思ったりするけど……そんなことないのよねー」
「一咲さんでしょ?ぜんぜん違うよね、私たちとの対応の差」
「もしかして好きなのかな?いやでも一咲さんには支配人がいるし…、さすがのハルさんでもねえ」
トクン、トクン。
気にすれば気にするほど苦しくなって、考えない考えないと呪うぶんだけ逆効果。