こんなにも柔らかい肌をしていたのかと、下手したら壊してしまうんじゃないかと。

きみはいまだ花を開かせない、一輪の蕾なのだから。



“また、来てくださいますか…?”



そんなつぼみが別れ際、初めて俺のそでを掴んできた。

今まで俺が言ったことにうなずき、俺が聞いたことに答え、自分からは滅多に気持ちを言わない子だったというのに。


つぎ会うときは、その大型軍事演習が終わったあとだ。


俺は彼女の身長に合わせるように屈み込んで、目をしっかりと合わせた。



『約束する、必ず。だから待っていて欲しい』



そうだ。

俺の後悔は、ただひとつ。



(きみを1度でも……抱きしめておくんだった)



もしかするとそんな後悔が、俺を再びきみに廻り合わせてくれたのかもしれないな。