大型軍事演習。

この戦艦に乗船することができる兵士もまた、選ばれた者だけ。


その50人のうちの1人に、俺は選ばれたのだ。


つぼみにいちばんに知らせたかった俺は、彼女はどんな顔を見せてくれるだろうと楽しみだった。



『つぼみ…?』



しかし、予想していたものとは正反対。

どこか不安そうに、珍しくきゅっと眉を寄せていた。



『どうした?』



パクパクと口を動かして、どうにか伝えてくれようとしている。

簡単な手話であれば俺も自然と覚えていったが、彼女は今日はそれも使おうとしない。


──────い、か、な、い、で。


俺には、そう聞こえた。



『つぼみ、この軍事演習から帰ってきたら……きみに伝えたいことがあるんだ』



このくらいは、いいだろうか。

そっと頬に触れて、撫でる。