『時榛おまえ、つぼみちゃんに惚れたんだろ』
『……ああ』
『えっ、ええ!試しに言ってみたら本当だったとは…!』
『…声がでかいぞ伊作』
隠すことは得意じゃない。
嘘をつくことも好きではない。
そして、伊作があの子に惹かれる前にと手を打つような気持ちもあった。
『安心したよ俺…、おまえは女にはなんっにも興味がないんだと思ってたからさあ……』
『…興味がない女には、それは興味がないよ』
『ほうほう。ってことはつまり、つぼみちゃんには興味があったってわけだ』
顔が熱い。
伊作から視線を逸らして、なんとか外を見つめる。
しかしちょうど花壇の花に水をやっているきみがいて、俺はどうしようもなく愛しさが込み上げた。
『………って、おいおい嘘だろ時榛』
そんな俺たちを交互に覗きながら、なぜか納得を示せていない様子の友人。
一応は見舞いという建前で来てはいるが、今すぐにもつぼみに話しかけたくて仕方がない。