そうか、俺は振られたのか。

そりゃあそうだ。
振られて当然だ。


こんなにも待たせてしまった俺なのだから。



「嫌なら言えばいい。俺はきみが嫌がることだけはしない」


「……っ、……、」



きみのそういうところが、俺を甘やかすんだよいつも。



「…言わないなら、させてもらうぞ」


「まっ、んん…!」



廻りに巡って、俺はまたきみに惹かれる。


今だけじゃないのかもしれないな。

もしかすると俺たちはもっともっと前も、ちがう形で出会っていたのかもしれない。



「…はる……さま、」



心のなかにだけ届いていた声が、今は俺の耳にハッキリと聞こえてくる。

それがどんなに嬉しいことか、きみは知らないだろう。


ずっと俺は、そんなきみの音を聞いてみたかった。



「……やわらかいな」


「んっ…」



あまい、甘すぎる。
触れるとこ触れるとこすべてが。

小さな吐息混じりの声も、食べ頃な果実のように赤く染まった唇も。



「ハル、さま…っ」



呼ばれるたびに込み上げる愛しさも。

欲を掻き乱してくる口づけも。


もう1度だけを、何度も繰り返した。