「その命、無駄にするか宝にするか。それは定春次第よの」



………俺は時榛だ。



「…無駄、とは」


「いまは無き過ぎ去った過去に執着する、ということだ」


「俺は……生き残りではなく、死に損ないと言ったほうが正しいのではないですか」



生き残りだなんて綺麗なものじゃない。
誇らしいものではない。

親に贔屓され、生かされただけの死に損ないだ。


皆して俺を恨んでいるだろう、おなじ海軍兵たちは。



「なら、生きればよいだけの話。生きて生きて、答えなんぞはそのあとで後ろからついてくる。定春の行動が正しければ、それは正しい未来となる」



俺はいつかにもそんなことを言われた。

海軍兵学校に入学し、国を守る立場の兵士の仲間入りとなり。


けれど知識が増えて嬉しい心とは裏腹に俺には常にどこか迷いがあった。


自分が歩いている道は本当に正しいのか、たまに分からなくなって。

そんなとき俺の背中を叩いてくれたのが友人の伊作だった。