『千歳の時を越える我が息子よ、─────……どうかしあわせに』



涙を流しながら敬礼をして、父は最後俺にそう言ったんだ。

こうなることを予測できていなければ、あんな言葉は言えるものではない。



「ここにどう送られてきたのか、覚えておるのか?」


「…保管、庫……」


「ほう、保管庫とな」


「そのようなものに入れられて……外から父がダイヤルのようなものをいじって、俺は海に放られました」



その保管庫があれば、俺はまた過去に戻ることができるのだろうか。


いいや、ありえない。


俺が海岸脇で助けられたとき、服すら着ていなかったのだ。

それは保管庫が故障し、溶け、服までもが溶けたからだろう。


幸い俺の身体は常人とはかけ離れた身体能力を持っていたため、なんとか生きていたに過ぎない。



「ダイヤル…、なんとも計算されておるな」


「計算……?」



最初から父は俺をこの時代に送り込む設定をして、その設定どおりの時間軸で保管庫が溶けた。

すべて計算のうちで。


────とでも言いたいのか。