ただ、あれが俺をもとの身体に戻すんだろうと信憑性だけは上がった。
彼女に触れたあとは必ず力が出なくなって、食欲も落ちては脚力も低下する。
そのぶんとてつもない発情衝動に駆られることだけを除いては。
しかし継続的にしなければ効果も比例されない───ツクモさんは最初、そう言っていた。
「なら、他の女に頼めばよいだろう。おまえさんは見た目だけは色男なのだから困ることもあるまい」
「それだけは無理です」
「まったく…、かったいのぉ明治の男は」
「そこに時代は関係ありま───、…どうして……俺が明治の男って、」
言葉をうまく紡げなくなった俺をよそに、彼は1枚の写真を手にしていた。
だいぶ古びた写真だ。
そこにぼんやり写った、軍服姿の男たちがいる。
「八田 伊作(はった いさく)」
「っ!!!なぜその名前を…!」
「どうにもワシの遠い先祖、らしくてな。ちょっくら気になってルーツを辿ってみたら……なんとここに見知った顔まで写っておったわい」