時榛side




「どうにかなりませんか、あれ」


「なにがだ、オス」



今日は俺ひとりが訪れたからか、手土産がないからか、ツクモさんの機嫌は良いとは言えなかった。

オスという呼び方だったら、まだ名前を間違えてくれたほうがいい。


学者というのは生物に関心があるのかないのか、よく分からないな…。



「もとの身体に戻す方法は……本当にああするしかないのですか」


「んん?ああ、もしやお嬢さんを泣かせでもしたか」


「……自分でも抑えられなくて困っているんです、こちらは」



こんな相談を彼女に聞かせるわけにはいかない。

そういう理由での、今回は1人だった。



「そらそうよ。莫大な男性ホルモンが分泌されるのだからな」


「……抑制薬みたいなものは作れないのですか」


「ワシは研究専門だ。製薬なら別の者に頼め」