そこには私がいた。

小さく口を開いたハル様が感じていた心当たりの矛先は、紛れもなく私。


実はひとつ気にかかっていた点があり、「私も…」と、口を挟む。



「ハル様が高熱を出したとき。かなりの早さで下がっていたはずが、私と関わったあとはまた上がったんです」


「……なるほど」


「それはやっぱり…、その…、女である私に触れられて……本来の回復力に戻ったから、ということでしょうか」


「一時的、だろうがな」



辻褄(つじつま)が合う。

ツクモさんの言っていることに疑いを向けられなかったのは、私自身が実感として体験していたから。



「ワシの予想では、男性ホルモンを継続的に刺激し、アドレナリンとドーパミンを限りなく放出させる。これこそお前がもとの身体に戻る手っ取り早い方法ぞ。
そのためにいちばん効率的なものは雌…、つまりは生物として最も正反対である女だと」


「……刺激する、というのは…」


「言わせるでない。御年70過ぎのワシに」


「…………」