「……みんな…、怒って、ますか」


「ああ、かなり。でも…無事で良かった」



変わりなく答えてくれてはいるが、切らした息と上下に動く肩。

それだけで込み上げてくるものがあった。



「怪我はしていないか」


「……はい」


「さっきは風邪を引かせたくなかったのに、これじゃあなんの意味もない」


「……ごめんなさい」



時間を巻き戻したい。

できれば中庭の庭園に水やりをする前くらいかな。


もし戻ったなら、私はその日は水やりをしないで、いつもと違うことをする。


あなたとの楽しくて幸せすぎた時間を味わってしまったことで、たくさんたくさん苦しかったから。



「…なにがあった?」


「……なにも、ないです」



見苦しい否定。

なにもなかったらこんなことしていない。
誰だとしてもわかる。