「いったい何がどうなればそうなるのよ…!当分のあいだは水やり禁止!わかった!?」


「……はい」


「今日は大切なお偉い様方の宴会が入ってるってのに……もう!」



私は透子さんからのお説教タイムがセットなため、お風呂と着替えに直行とはならなかった。

もちろんお客様が利用する大浴場ではなく、別館の一室に設備されている個人用の浴室。



「一咲…?聞こえているの一咲!!」


「…はい」


「聞こえているならちゃっちゃと動く!!突っ立ってないで歩きなさいよ!」


「……はい?」


「………いつもの100倍ボーッとしてんじゃないの!!!」



透子さんの声が右から左へ抜けていく。

私だって決して反省していないわけじゃない。


誰もがしないようなミスをしてしまったときは必ず、どうしてこうなっちゃったんだろうって自分なりに分析しては、同じ失敗だけは繰り返さないようにと心がけている。