「っ、」
「わ……!」
あなたは、まだこの世界のことを知らない人だから。
びしょ濡れの相手を温める方法は、あなたの世界ではこんなものだったのかもしれない。
でも、その一瞬に見えた、泣きそうに眉を寄せてまでくしゃりと歪んだ表情だけは。
ずっと我慢していたものを押し潰したかのようで、理性など振り切って、もうたまらなくなって、ただただ、触ってみたくて。
そんな、理由で。
たったのその理由だけで、ここまで咄嗟に私の身体を引き寄せてきたのではないですか。
「はる…さま……?」
ずっといたいと思った。
この腕に、ずっと包まれていたかった。
ずっとずっと、こうされていたいって。
(私は、ずっと、)
あなたに───こんなふうにされたかった。