新婚旅行を含めた挙式をグアムで執り行ったらしく、国内では挙式披露宴をしていない美花。

友人や知人は招待されていないから、美花のウェディングドレスを見てみたかったのだ。


「えー。美花、すごい綺麗」

「ふふっ。ありがとうね」


少し頬を赤らめながら、照れ笑いしている美花がかわいい。

旦那さんは年上で理学療法士さんらしく、とても優しそう。
写真の中の美花は、これまでに見たことのないような弾けるような笑顔だ。


「いいなぁ。私、結婚できるのかな」

「なに弱気になってるの。結婚できるに決まってる。葵のウェディングドレス姿、見せてもらわないと困るんですけどぉ?」


美花は少しおどけたような表情で、俯いてアルバムに目を落としたままの私を覗き込む。

弱気……か。
そうだよね。まだ治療は始まったばかり。

序盤でこんなに弱気になっていたら、この先乗り越えられない。


「そうねぇ。じゃあ、結婚式は絶対来てよ?」

「当たり前。国内だろうと海外だろうと、葵のためなら絶対行くって」

「まずは、相手探しからだけど」


他愛もない話をしながら、顔を見合わせて笑った。

……あぁ、幸せ。
こんな風に笑ったの、どれくらいぶりかな。

ここ最近でがらりと環境が変わって髪も抜けたりで、心から笑うことを忘れていた。