ぽろぽろと涙が溢れ、掠れた声で呟くように漏れた思い。

そばにいた匠真は驚いた様子で私のことを見つめたあと、床に落ちた点滴バッグを拾った。
そしてそれを丁寧にベッドサイドに置いてから、私のことをきつく抱きしめた。


「代わってやれなくて、すまない……」


耳元で聞こえた匠真の声は、少し震えている。

どうして?
どうして、匠真が謝るの。

匠真は、なにもしていないじゃない。
私の病気を治そうと、一生懸命努力してくれているじゃない。

それに、『代わる』って……なに?
そんなことされたって、ちっとも嬉しくない。


「……謝らないでよ」

「葵。俺も、辛いんだ。愛する葵のことを、治せなくて……」


私のことを抱きしめたまま、震える声でそう言った匠真。

匠真も、辛い……?
その言葉が、なぜか心に重くのしかかった。


「……匠真、泣いてる?」

「あぁ……。葵、辛いよな。でも……俺は葵がいなくなるのは嫌だ。俺には、葵が必要なんだ」


匠真は掠れた声で、まるで訴えるかのように私にそう言った。
彼の想いが心に突き刺さり、再び涙がこぼれ落ちていく。

そうか……辛いのは、私だけじゃない。
そばで支えてくれている、匠真も同じ気持ちだったんだ。

もしかしたら、森脇さんも。