「......姉が1人います。ただ、姉には会わないでください」
あからさまに警察官の表情が変わる。
「それは、なぜですか?」
「姉はうつ病なんです。精神科に入院しています。母と弟が亡くなったことも、私から伝えるので、勝手なことはしないでください」
(少し、印象悪くしたかな?でも、姉に手を出されたら困る。警察官から伝えられたって、発作が起きて終わりだ)
「なるほど。わかりました。とりあえず、署までご同行願えますか?」
「嫌です」
警察官の目がキラリと光る。表情がわかりやすい警察官だこと。
「と、言ったらどうしますか?」
「無理やりにでも連れて行きますよ。それが仕事なので」
「行きたくありません。だって、犯人は自主しますから。そろそろだと思います」
時計を見ると、あれから30分ほど経っている。自首するなら、もうしているだろう。あとは、連絡待ちってところだ。
「有本警部!犯人が自首してきたそうです!」
「なっ⁉︎」
「ほら、言った通りでしょう?」