「ねぇ〜朱音。聞いてもいい?」
ご飯を食べながら、そう聞いてきた瑠奈。
「なんでも聞いていいよ」
「どうやって犯人を追い出したの?」
あのことか。
「少し脅しただけ。ありもしないことを言ってみたら、怯えて逃げてったの」
自分は"あっち側"の人間って言う嘘を言って見たのだ。
「嘘って何?」
「ヤクザ側の人間ってことにしたの。そしたら怯えて逃げてった」
「すごいね。その一瞬でそんなこと思いつくの」
「母が、極道とかヤクザとかそういうドラマとかが好きで、私もよく見てたから」
「そうなんだ。でもとっさに出るのすごいよ。頭いいね」
頭がいい、か。確かにそうかもしれない。ただ、そう言われるのは少し苦手だ。