「死んだのね」
部屋に入った瞬間、お姉ちゃんが窓を見ながら、私にそう言った。
「うん」
「おかしいよね」
「うん」
お姉ちゃんに返事をすることしかできない。私もお姉ちゃんも弱いから。
「なんで?お母さんと春が殺されなきゃいけないの?」
「おかしいよ」
「ねぇ、教えてくれる?どうして2人が死んだのか」
「強盗殺人だよ。お風呂から出たときには2人とも...」
事件の経緯しか、私は教えられない。
「うん。でも、朱音が生きててよかった」
(お姉ちゃん、?)
「朱音が死んだら、私は生きていけないよ?死なないでね」
「私は、死なないよ」
死ねないよ。"死なないでね"それは、私の嫌いな言葉だ。誰かのために生きなきゃいけない。自分のために生きれない。
「死なないよ」