こんなに楽しそうにしている2人に仕事を頼むなんてできない。


「2人は、先にレストランに行ってて?」


澄恵の言葉に美穂は驚いたように目を丸くした。


「え、いいの?」


その声には澄恵の言葉を待っていたような雰囲気が混ざっている。


「うん。私も早く終わらせて、すぐに行くから」


「ごめんねぇ澄恵。予約まで取ってもらっちゃったのにぃ」


文音は申し訳なさそうに言うが、その実早くここから立ち去りたそうにしている。


「ううん、大丈夫だよ」


澄恵は手を振り、大量の書類へと向き直ったのだった。