「結婚したら仕事を辞めて、すぐに親と同居してほしいんだけど……」

「家事と子育ては女性の仕事でしょ?俺が稼いでくるから、仕事辞めたら?」

「手伝える時は手伝うけど、家事とか育児は女性メインでしてほしい」

「俺、実家暮らしだし家事とかしたことない。だから無理。子育ても絶対無理だわ〜。子どもは三人くらいほしいけど」

出会う男性は、家事も育児も女性に任せる気満々で、沙月の理想の相手とは程遠い。結婚をしても幸せになれるとは思えず、沙月は男性に会うたびに断る日々が当たり前になりつつあった。



「ハァ……」

先日、もう何人目になるかわからないマッチングした男性とデートをし、結婚後の生活について話して断った後、沙月はため息を吐きながらパソコンの画面を見ていた。

取引先とのトラブルがあり、担当を任されていた沙月は残業をしていた。他の社員たちが帰っていく中、ただ黙々とパソコンのキーボードを打っていく。部署内は、いつの間にか沈黙に包まれていた。

「私、このまま一生独身なのかな……」