「夏希…。私達ももう高校生だしさ。今回、クラスも違うわけだし。お互いのことは干渉しないようにしましょうよ、ね?」

なるべく事を荒立てないように、私が持ち出したそんな提案。

しかし。

「…は?何それ?別に俺は、話したい時に心春に話しかけるし。それ何か俺にメリットある?」

夏希にはそう鼻で笑われてしまった。

若干苛ついたが大人な対応を心がけようと、私は頭をフル回転させ、至った結論が…。

「メリットって…。あ!そうだ。私達、一緒にいる時間多くてよくカレカノに間違われてたじゃん。それもあって、中学時代はお互い相手もできなかったし。ね?夏希も高校では可愛い彼女ほしくない?」

というもの。

「……ハァ」

「夏希…?どうかした??」

なぜか大きなため息をつき、目が死んでいる彼の表情を見て私は目を見開いた。

その時。

「心春ちゃん…。夏希立ち直れなくなるから…そのくらいにしてあげて、ね?」

真冬さんがソッと近づいてきて、やんわりと声をかけてくる。

どうやら私達の会話が聞こえていたらしい。

「心春、本当にあんたって子は…。今まで夏希くんにどれだけお世話になってきたと思ってるの!?そんな薄情な子に育てた覚えはないわよ!」

と、なぜか私の母まで夏希の肩を持つ始末。