シレッと言ってのけるあたり嫌味な奴だ。

確かに夏希は、昔から容量が良くて勉強もできたし、スポーツ万能。

さらには、キリッとした凛々しい目元に、サラサラな黒髪と、爽やかな見た目も相まって小学生の頃からそりゃ、女子にモテモテだった。

夏希は知らないかもしれないけれど、幼なじみというだけで、何度私が同級生の女子達の反感をかったことか…。

その度に巻き込まれる私の身にもなってほしいと切実に思っていた。

とは言え、中学までは校区もあるし、同じ学校になるのは仕方がないと我慢してきた私。

高校こそはと、夏希には言わずに受験した私立高校だったのに、まさか、高校まで同じになるとは思ってもみなかった。

てっきり夏希は、県内トップの県立高校にでも進学するだろうと高を括っていたし…。

…っ。
"特待生"、"学費免除"というパワーワードが憎い。

しかも入学式の代表なんてされたら、入学初日からどれだけ目立つことか…。

『ちょっと、斉田くんとどういう関係?』

『対して可愛くないくせに…』

中学時代の黒歴史が走馬灯のように流れ、高校でも同じ目に合うのでないかと想像するだけで恐ろしかった。

唯一の救いは、夏希とクラスが違うことくらいだろう。