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「夏希、大丈夫…?」
「…ゴメン。ちょっとイラッときた」
カフェから出てきた私達は、駅の前にあるベンチに腰を下ろす。
不機嫌そうな夏希に対して、私は「あはは…」と苦笑いを浮かべた。
「しょうがないよ。向井くん、あんな煽ったような言い方するんだもん。私もちょっと嫌な気分だったし…」
「…心春こそあんなヤツの言ってること鵜呑みにする必要ないからな」
「わかってる。向井くん、夏希のこと目の敵にしてたし…。きっとアンタのこと言い負かしたくてあんなこと言ってたんでしょ?"牽制してる"とか"入れ込む"とかさ」
途中から向井くんが私のことを言っているのはなんとなくわかっていた。
それが夏希を煽るための言葉だって言うことも…。
「……ハァ」
え?何でそんなに盛大にため息を??
私の言葉を聞いて、脱力するように肩を落としたヤツに私はパチパチと目をしばたたかせる。
「夏希、どうかし……ッキャ」
グイッ。
私が言い終わる前に、夏希は隣に座る私の手を急に引っ張るものだから私はバランスを崩した。
一瞬にして、夏希との距離が近づき、ビックリして私はカチンと固まってしまう。