「あ!このカフェラテ美味しいよ。夏希も飲んだら…」
慌てて2人の間に入り、話題を変えようと試みるも既に後の祭り。
「別に俺がどこの高校に行こうと、君には関係ないでしょ?それに理由が心春って決めつけはどうかな?」
「え、違うの?だって、この前の昼休みうちのクラスに来た時からクラスメイト達に牽制してるのバレバレだったよ?まぁ、当の本人は気づいてないみたいだけど」
一見、2人共笑顔で会話を続けているが如何せん、同じテーブルを囲む私はその場の凍てついた空気がいたたまれない。
「…仮にそうだとしてもお前とは一切関係ないから気にしなくて大丈夫。むしろ、すんな」
「へぇ?余裕だね〜。勉強も恋愛も余裕って感じ?カッコいいなぁ。つか、彼女に君がそこまで入れ込む価値あんの?まぁ、確かに顔は可愛い方だと思うけど、成績はそこそこだし。もっと見る目広げたら…」
一瞬、向井くんと目が合った気がした。
え?今話している内容ってもしかして…。
その時。
「行くぞ。心春」
「え、夏希!?」
夏希が急に私の手首を掴むと、カフェの出口へと私を引っ張る。
突然の出来事に驚いたのは、私だけじゃなく向井くんもだったらしい。去り際、彼の方を確認すると、ポカンとした表情で、私達の後ろ姿を見送っていた。