「いきなり肩を叩かれたら誰だってビックリするわよ…」

「偶然、心春見かけたから。つい、な?」

いたずらっ子のような夏希に私は内心ため息をこぼす。まぁ、今さら注意した所で意味がないのはわかっているのだが…。

「…それで、夏希は、今日は何で駅の方に?」

「姉貴が今日、実家に帰ってくるらしくて。荷物重いから迎えに来いって電話きてさ。まったく弟の扱いが雑なんだよアイツ…」

私の問いかけに一瞬にして、げんなりとした表情を浮かべた夏希は面倒くさそうに髪をくしゃりと触る。

「え!?春姫ちゃん帰ってくるの…!?それなら早く言ってよ。ねぇ、私も一緒に待ってていい??何時の電車?」

「相変わらず、心春は姉貴のこと好きだよな…。まぁ、別にいいけど。荷物持ち手伝えよ」

「うんうん。そのくらい全然する〜」

「…姉貴のことだと本当素直だな、お前…」

若干引き気味の夏希の嫌味でさえも、今日の私は聞き流せる。

春姫ちゃん、元気にしてるかな?
会うの久しぶりだもん。
楽しみ〜。

夏希によると、春姫ちゃんは18時の電車で駅に到着するらしい。

現在、時刻は17時半。
あと30分くらい余裕があるとのことで、私と夏希は駅内にあるカフェで時間を潰すことにした。