学校からの帰り道、私は沙奈とそんな他愛もない話で盛り上がる。

沙奈は、学校から徒歩10分程度の距離にある駅から2駅先の隣町に住んでおり、最近では駅まで一緒に歩いて帰るのが日課になっていた。

「それにさ。どうも、向井くんって心春に気があるようにみえるのよね〜。だって、クラスで話しかける女子って心春くらいじゃない?」

「…へ?いやいや。たんによく話すのは席が近いからだって。てか、沙奈だって向井くんと話すでしょ?」

突然の沙奈の言葉に私は目を丸くしつつ、私は彼女に言い返す。

「んー。私の場合は心春のオマケみたいな扱いだからなぁ。ま、いいや。じゃ、私電車乗り遅れちゃうからそろそろ行くね」

「うん、また明日」

駅の改札に向かって、早足で進む沙奈の背中を見送っていた時。

ふいに私の肩をポンッと叩く人物がいたものだから思わずビクッと大げさに反応してしまった。

そして、その相手を視認し私は小さく肩を落とす。

「…!夏希ってばいるならいるって声かけてよ」

「あ。悪い。ビックリした?」

ケラケラと全然、悪びれた様子のないヤツの様子に私は呆れた視線を送る。