「よかった〜。じゃあ、改めてよろしくね、心春」
「うん、沙奈。こちらこそ」
そう言い合って、お互いクスッと微笑み合う。
なんとも和やかな雰囲気が私達の間で漂っている中、その事件は起きた…。
「わぁ…。あの人確か…入学式の」
「ね!超カッコいい〜…!」
そんな女子の黄色い声が教室の入り口付近で聞こえてくる。
不思議に思って、声のする方向に私が視線を向けた時。
パチッ。
誰かを探しているヤツと視線が絡んだ。
え、ちょっと待って。
何で夏希がうちのクラスに…?
「あ、いたいた…。おーい。心春」
戸惑いを隠せない私に向かって、大声で廊下の入口から私の名前を呼ぶヤツに私は顔面蒼白になる。
ヒィッ…!空気読みなさいよ〜。
だって、クラスのほぼ全員の視線が私に向けられていたから。
「…心春、あの人って確か入学式で代表してた…。知り合いなの?」
沙奈ですら私と夏希を交互に見つめて、ポカンとしている始末。
「う、うん…。中学同じで…。ちょっと呼ばれてるから行ってくるね」