「ふふ。心春ちゃんってやっぱり面白いね。じゃ、また休み時間にでも話そ〜。あとでね」
「うん。初授業頑張ろうね…!」
沙奈ちゃんがクスッと微笑みながら、自分の席に戻っていくのを見送った私は、周りに気づかれないように小さく息をつく。
私も口を滑らせないように気をつけないと…。
夏希と一緒にいた時間が当たり前すぎて、自然と話題がそっちに言ってしまう。
違う学校だったら夏希もいないし、もっと気軽に友達にだって話せるのに。本人が隣のクラスにいるわけだもんね…。
内心、ハァ…とため息をつきつつ、私は授業の準備を始める。
別に夏希が幼なじみだってことをわざと隠すつもりはない。もちろん、沙奈ちゃんにだって聞かれたらちゃんと話すつもりだ。
ただ、わざわざ聞かれてもいないのに話して、学校中に広めるつもりはないだけで…。
せっかく夏希も気を使ってくれるって言ってくれたのだからその誠意に答えないと…!
1人そんな思いを胸に秘め、改めてそう心に誓ったのだった。