「そっか。絃くん、選抜リレー出るんだっけ」
立ったままグラウンドの方を眺めている絃くんを見上げて聞くと、彼は普段通りの笑顔でまぶしく笑った。
「そ。花音ちゃんもこころちゃんも応援してね」
「うん。がんばってね」
「気が向いたらねー」
素直に応援するわたしと、手鏡でメイク直しをしながら適当に返事をするこころちゃん。
絃くんもいつも通りのこころちゃんの様子に、別に今更傷つくとかもないみたい。
「そうだ、花音ちゃん。おにぎり食べる?」
「…おにぎり?」
絃くんはそういって自分のカバンから、綺麗にケースに入ったおにぎりを持ち出す。
おにぎりのおすそ分けとか、今時ある?