「…あれ、花音だ」


「っ……わ」




びっくり、した。
慌てて前を向くと、毎日クラスで顔を合わせている男子生徒、芙遥尊くんの姿。




わたしを見下ろしてにっと笑っている。





「あ、あの、盗み聞きしてたわけじゃなくてっ……」


「分かってるよ。それより、荷物置いたら? 委員会の仕事で来たんでしょ」


「……あ、はい」





あっさり許してもらえちゃった。
わたしは尊くんに言われるがままにカウンターの中に荷物を置いて、パイプ椅子に座る。



最初、ここで尊くんとちゃんとおしゃべりした日と同じように、また彼はカウンターにもたれかかってわたしを見下ろしてる。