今度はわたしの手が止まる。
もう1ページ書き終わったけどね。



気を抜くと、すぐ尊くんを見つめてしまうクセ、ダメだな。



治せる気、全然しないけど。





「…あー、花音、サボってる」


「さ……、ちがうもん」




人聞きの悪い。
尊くんが顔を上げてにやっと笑う。




「もしかして、俺に見とれてた?」


「……気のせいだよ」





って顔を逸らしながら言ったけど。
「そんな顔で言われても説得力ゼロだし」って言われちゃった。



顔赤いよね、きっと。
熱いもん。



雨だし、もう冬なのに、わたしだけまだ夏に取り残されてるもん。