「じゃあ今からは班ごとにそれぞれの場所に観光に行ってもらう。遊びではないから、くれぐれも──」
先生の合図で、生徒たちは散り散りになった。
わたしたちがいくのは二条城だ。
京都なんてはじめて来たし、迷子にならないように気をつけなきゃ…。
「絃くん、手つなご?」
「え……そ、外だし、みんな見てる…けど」
「……ダメなの?」
うしろで繰り広げられる会話にふふっと笑ってしまった。
ここ一か月で分かったことなんだけど、こころちゃんは恋人相手にはかなり小悪魔になるらしい。
付き合う前まで絃くんのほうが”絶対好きにさせてやる”みたいな感じだったのに、今では絃くんのほうがタジタジで振り回されてる感じだ。
いいなぁ。
幸せそうだから、こっちまで微笑ましくなる。
そうしてわたしたちは、バスに乗って二条城まで移動した。