午前中は一瞬だった。
まぁまぁ客入りもよく、案内係の若狭さんが得意の愛嬌を振りまいてクラスの宣伝を超頑張ってた。




花音もクレープの盛り付けに一生懸命だったから、途中で「疲れてない?」って聞いたけど、花音は「大丈夫。たのしい」って笑ってた。




なんかなぁ。
守りてぇなぁ、あの笑顔。
……って、思ってしまった。柄にもなく。





「おまたせっ、尊くん」




小さく名前を呼ばれた。
こんな喧騒の中でも、好きな子の声だけはハッキリ聞こえる。




ぴょん、と俺の隣に立つその子。
……なんか、イメージ変えた?



クレープ屋の当番は同じタイミングで終わったのに、すぐに若狭さんが花音を連れてどこかに消えたから、校舎の中で待ち合わせになった。