「こころちゃん、絃くんと回るんだって」




花音が小さめの声で、こそこそと話してきた。
それでいて顔は嬉しそうに緩んでる。



うん。
俺もそれ聞いた。
絃が超浮かれてたから。



海へ行った日のあと、絃からは『花音ちゃんにも俺の気持ち話した』と報告された。
だから花音が絃の恋を知ってるのも分かってたんだけど。




……花音はマジで、底なしに良い奴だと思う。
今年から急に仲良くなったような友人の恋愛を本気で応援できちゃうんだもんな。




「アイツ、誘う前めちゃくちゃ自分を鼓舞してた」


「あはは、想像つくなぁ」





うーん…。
そんでもって、俺はめちゃくちゃ嫉妬深い。



だって、自分の身近な友人にすら妬いてんだから、今。




花音が俺以外の男のことで笑ってるだけで嫌だ、なんて……度が過ぎてるよな。



分かってんだけど、最近歯止めが効かない。
おかしいんだ、俺。