「ちょっとくらいわたしは大丈夫だから、こころちゃんのほう行ってあげて。心配なんでしょ?」
「…うん、すぐ戻るから」
立ち上がってこころちゃんを追いかける尊くん。
…誰よりも優しいなぁ。
わたしが尊くんの立場だったら、そこまで気が回るとは思えない。
小さくあくびをしながらみんなが戻ってくるのを待っていたら、一番最初に帰ってきたのは絃くんだった。
そしてわたしの隣に腰をかけて、絃くんも大きなあくびをひとつ。
「おかえり、絃くん」
「ただいま。花音ちゃんはついていかなかったんだね」
「うん」
思えば…絃くんと二人きりになるのって、これがはじめてかも。
何を話せばいいんだろう…。