それからしばらく経って、尊くんと他愛もない話をしていたら、こころちゃんが走ってきた。
その後ろから絃くんも歩いてくる。
「花音、あたし海の家行って食べ物買ってくる! なにほしい?」
「えっと…焼きそばで」
「俺フランクフルト—」
わたしと尊くんが次々に注文すると、絃くんがわたしたちの横を素通りしようとする。
それを見逃さなかったのは尊くんだった。
「あれ、絃どこいくの?」
「トイレ」
尊くんが何かを返す前に、絃くんはもう声の届かない場所まで歩いて行ってしまっていた。
絃くんの背中と、海の家のほうへ歩いていこうとするこころちゃんの背中を交互に見て不安そうな顔してる。
…あぁ、これはたぶん。