お料理のお手伝いをしようとしたけど、「ちょっと一人で考える時間をちょうだい」と断られてしまった。
そういえば、奏斗くんはよく考え事をしながら料理を作っていたっけ。
考え事をしながら、料理を作れるなんて器用だ。

何かを焼いた香ばしい匂いや、ぐつぐつと何かを煮込む音が聞こえる。
おまけにいい匂いもしてくる。
今日のご飯はなんだろう。
夕飯のことを考えていると、いつの間にか眠っていた。










「ご飯できたよ」
奏斗くんの優しい声が聞こえて、目を開ける。
部屋の中は、いい匂いでいっぱい。
大きなお腹の音が部屋中に響き渡る。


「ははっ、ミヤらしい」
奏斗くんは笑いながら、食卓に料理を並べる。


私らしいってどういうこと?

そう思いながらも、私が人間になってから、笑っている奏斗くんを見たのは初めてな気がして、嬉しくなった。



初めて食べた奏斗くんの手料理は、焼き魚と豚肉が入ったお味噌汁だった。
たぶん、奏斗くんの大好物「豚汁」。


お箸を使ってご飯を食べようとするも、難しくて、なかなか食べ物が掴めない。

食べ物を口に運ぶのに苦戦していると、奏斗くんがご飯を食べようとする手を止めて、私の隣に座る。