奏斗くんと私は目を合わせて、思い切って玄関の扉を開けた。
「やっぱり、ここにいた」
叔父さんはホッとした顔でつぶやいた。
「いつでも連絡とれるようにスマホを持って出かけなさいって言っているのに…また家に忘れてたから持ってきたんだぞ」
そう言いながら叔父さんは私にスマホを手渡した。
私と叔父さんは一体どんな関係なの?
ちらっと奏斗くんを見ると、奏斗くんも訳が分からない、というような顔をしている。
「本当、お前ら仲良いなー。まあ、俺の大事な一人娘、奏斗だったら安心して預けられる。他の男だったら許さんけどな」
え?叔父さんの一人娘?
「え?ミヤって叔父さんの娘なの?」
奏斗くんも私と同じことを思っていたようだ。
「どうした?奏斗…頭でも打ったか?」
奏斗くんの質問に、叔父さんが心配する。
頭を打ったのは叔父さんの方なんじゃ…と思ったけど、そういうことみたい。
「じゃあ叔父さん、結婚したってこと?あんなに結婚したくないとか言ってたのに!」
奏斗くんは混乱しているようだ。
叔父さんは、奏斗くんに彼女を作るのは勧めるくせに、結婚したくないって、いつも言ってた。
そんな叔父さんが結婚していたなんて信じられない。