土砂降りの雨の日。
私はダンボールの中に入れられて、寒さに震えていた。
いつもなら温かい毛でも濡れてしまうと、冷たい毛布に包まれてるみたいに寒い。
このまま死んじゃうのかな…
何度「助けて」と叫んでも、私のもとに来てくれる人はいなかった。
だからもう、助けを求めるのは諦めていた。
だけど、最後の一声。
この一声だけ出して、駄目だったらこのまま静かに目を瞑っていよう。
そう思い、小さな声で「助けて」と呟いた。
これじゃ誰にも届かない。
数秒経っても誰かが来る気配はない。
諦めかけていたその時
「あっ、ここにいた!」
一人の男の子が私を抱き抱えた。
温かい手だった。
ほっとした私は、そのまま眠った。
全身ポカポカしてて、天国に来ちゃったのかと錯覚するほどだった。
奏斗くんに出会ったときのことを思い出していた。
懐かしくて切ない気持ちになる。
私がどんなに奏斗くんのことが好きでも、この思いが届くことはない。
超えられない壁に改めて気がついた私は、絶望的な気持ちになりながら、いつの間にか眠っていた。
目が覚めた。
どんなに寝ても変わらない現実の繰り返し。
なんとも言えない気分になって、心を落ち着かせるために毛づくろいをしようとする。
―――毛がない。
毛がないというよりは、体全体が皮になったみたい。