教室から校長室まで全力疾走したおかげで10分以内には着いたけど……。





呼吸が苦しい。





深呼吸をして落ち着かせてドアをノックする。







「失礼します。花森うさぎです。」






「どうぞ入って。」






ドアを開けて入ると中には校長先生の姿はなく、男子生徒2人だった。





1人は180cm以上ある黒髪の男で、もう1人はどこかで見たことがある。





「……っ!?」






思い出した……。

私は声にならない悲鳴をあげる。






この前ぶつかって次会ったらデートすると約束した男。






「やっと見つけたぞ、子兎。」





やっぱりそうだ。

ここはシラを切ろう。





「えっと……どこかで会いました?」





「花森うさぎ。俺がもう一度お前を見つけたらデートする約束だったよな?」





「人違いではないでしょうか?」






「そうか、覚えてないのか。

なら、俺と一緒に思い出そうか?」






嫌な予感がする。

私の額に汗が滲む。





「どこの誰かもわからない男達に絡まれてお前は逃げていた。

たまたま俺とぶつかって俺が巻き込まれる。


ぼーっとしている子兎は金髪男に人質に取られようとしてそいつの股間───」