「なるほど、祖母が浮かれてたのはそういう……」
「本当に、申し訳ございません……」
時計の短針が天辺にじわじわと近づく時刻。
すっかり片づいたリビング。
蝶子さんが眠ってから、「あんなに楽しそうな祖母は久しぶりです」と破顔して私の両手を握る幌延さんに、私は真相を伝えた。
蝶子さんの中では、3人でのハイキングがもう決定事項になってる。どうすれば機嫌を損ねることなく撤回できるのだろう。
うんうんと頭を悩ませる私に、幌延さんはあっけらかんとした様子だ。
「いいじゃないですか、もみじ狩り」
「お忙しいんじゃないんですか?」
「そりゃあ暇ではないですが、休みなら1日くらいは取れますよ」
幌延さんは肩をすくめる。
「むしろ嬉しくて仕方ないんです。祖母がああして元気になってくれたことが」
「……そんなに酷かったんですか?」
幌延さんからは、ほぼ亜純さんの話だけしか教わってない。外出が好きだったのに、家にこもりがちになった……とはさらっと話してくれていた。
「ぼんやりテレビばかり見て……家事は最低限やってくれるんですけど、会話らしい会話もなくて……」
「そんなに……」