「あの、これはどういう……」
カラカラの喉から絞りだすようにして訊ねてみれば、イケメンはまっすぐ私を見つめて、言った。
「彼女は、幌延 亜純……私の姉です」
「お姉さん……」
私はそうつぶやくので精一杯だった。あらためて写真の女性を見てみる。
リラックスした笑顔のように見える。とても仲の良い人にカメラを向けられているような──そんな安心しきった朗らかな表情だ。
三日月型の眉は緩んでいて緊張感はない。そのすぐ下にある少し四角い形をした目は生き生きとして、写真を撮った人への愛情がにじんでいる。
赤くて血色のいい唇は口角が上がり、そこから白い歯かちらりとのぞいていた。大きめの八重歯まで同じで、クラクラしてしまう。
その顔を、艶やかで豊かな黒髪が縁取る。シャンプーやトリートメントのCMに出られそうなほどの豊かさに、思わずため息がでそうになった。
私も黒髪ではある。あるけど、日に透かすと焦げ茶色にも見える中途半端な髪だ。写真の女性──幌延さんのような、白雪姫のような見た目になりたいとよく思っていた。
「その、お姉さんは、今は……」
「……行方不明なんです、5年前から」