「ととと…東条くんは酔いやすいから、一番前の席に来たのかなって……思って……」
「は? なにそれ」
「だって……一番後ろに座るって……聞いてたし……」
「俺は人生で一度も、車酔いなんかしたことない!」
えっ?
そっそうなの?
私の勘違いだった?
「私はただ……望月君に席を代わってもらおうと思っただけで……」
「俺の隣がイヤってこと?」
「そっ、そうじゃなくて……」
「じゃあなに?」
うっ、睨まないでよ……
ちゃんと言葉にするから……
「女嫌いで有名な東条くんのことだから……私の隣は苦痛かなって……。東条くんにとっても大事な高校の修学旅行なのに、私のせいで嫌な思い出になちゃったら……責任取れないなって……心配になっちゃって……」