「ひゃっ!」


私の口から驚き声が漏れてしまったのは、もはやしょうがない。

だってだって、この状況はおかしすぎなんだもん。



私の体は、東条くんに捕らえられている。

これっていわゆる、壁ドンっていうものだよね?



東条くんが両手をついたところは、壁じゃなくて窓だけど。

ガラスが粉々になるのでは?と心配になるほど大きな音がしたし、割れなくてよかったけれど。



窓と違って、私のハートは大丈夫じゃない。



ここは、クラスメイト全員がいるバスの中。

しかも一番前という目立つ場所。



女子に大人気の総長様に、両手壁ドンをされ

今もまだ、東条くんは私を捕らえたままで……



ひぃえぇぇ!!



私の顔面の斜め上に、迫っているんですけど!!

総長様の怒り顔が!!