「帆風ちゃん、大丈夫?」
「うん…」
こそっと聞いてくるせなっちに答えながら、ひとのすき間からときおり見える唯央くんの笑顔をながめた。
いつもどおり…だよね。
でも、なんかさっきの笑顔、いつもとちょっとちがった気がする…。
制服姿だったせいかなぁ…?
うーん、と考えていると、カメラを持ったひとがよこに来て、じゃまにならないように移動することにした。
トイレに行くっていうせなっちに手をふって別れ、ひとがいない窓ぎわに移る。
開きっぱなしの窓から吹いてくる、熱気を持った風が肩に届かない髪をゆらした。
「はぁ…」
「あんただろ、唯央のパートナー」
「ひゃ――!」
外をながめていると、とつぜん耳元でささやき声が聞こえて悲鳴を上げる。
でも、すぐに片手で口をふさがれた。
よこを見れば、しー、と言うように、口のまえに人差し指を立てた飛鷹くんがいる。