私もついチラ見してから、教科書とノートを閉じて筆箱を引き寄せた。

 机の上を片付けようとしたのに、うしろばっかり意識していたせいか、筆箱で手前にあったシャーペンを押し出してしまう。


 やばっ、うしろにいっちゃった…!




 ガタッ




 転がっていくシャーペンを目で追って立ち上がろうとすると、それよりも先にうしろのほうでイスを引く音がして、シャーペンに手が伸びる。




「これ、きみのだよね?」


「っ…は、はい…ありがとう、ゴザイマス…」




 やってしまった…。


 シャーペンをひろってくれたのは唯央くんで、ニコリとキラキラした笑顔を返される。


 あれ…?




「よかったらみんな、はなそうよ!」




 みんなへの声かけで、教室は、わっとにぎやかになった。

 唯央くんがうしろの席にもどれば、そこにひとだかりができる。