唯央くんっ!?
なんで!?聞いてないんだけど!!
叫ばないように口を押さえながら、バッと教室の床を見る。
アイドルって、よりによってSunny’s!?
「2人の席はいちばんうしろだ」
「「はい!」」
2人はまんなかの列のよこを通って、教室のうしろに向かう。
まんなかの列のうしろのほうにいる私のよこも、とうぜん通り過ぎるわけで。
私は口を押さえたまま、チラッとよこを通る唯央くんたちを見た。
本当に、唯央くんがうちの制服を着て、うちの教室にいる…!
視線が合うことはなかったけど、私の心臓はバクバクだ。
「それじゃあ、授業を始めるぞー。教科書の――」
先生の声が頭のなかを上すべりして、右から左へと抜けていく。
それでもなんとか、教科書を開いて、はなしを聞いてるフリをした。