未だに、何が起こったのか理解できない。
だけど、“6年”も経つと、どんな突飛な現実も受け入れることができる。
…いいや、受け入れないといけない、の方が気持ち的には正しいんだけど。
「今日もオーレリア嬢は無口だな」
「えぇ、閣下。父親として、この子を一度でも笑わせてあげたいのですが…」
ふわふわのドレスを着た私の前に、紫髪のおじさんと茶髪のお兄さんが立つ。
素敵なおじさんの方は、大公と呼ばれているなんだか偉い人で、人のよさそうなお兄さんの方は、私の新しいお父さん。
そう、私はあのとき死んでしまったらしい。
赤ちゃんから幼児にまで成長した今、自分が転生してしまったことを受け入れないわけにはいかない。